日別アーカイブ: 2022年11月7日

異貌の神々

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館長の部屋 第52話
異形の神々 ヒンドゥー教由来の神仏
奈良県立美術館館長 籔内佐斗司
「仏教はお釈迦さまの教え」といえるのは、スリランカやタイなどの上座部仏教の教えだけで、大乗仏教を説明するには無理があります。

なぜなら大乗仏教は、原始仏教にインドや中央アジアおよび東アジアの宗教と文化を貪欲に飲み込んで成立したからです。
ヒンドゥー教では、ブラフマー(生成)、ヴィシュヌ(維持)、シヴァ(破壊)という三神が輪番でこの世を支配するという時間軸をもった「トリムルティ」が信じられています。

この三神を大乗仏教に当てはめると、薬師如来(過去世)、釈迦如来(現世)、阿弥陀如来(来世)とぴったり符合します。

そしてヴィシュヌは、現世を10の変化神(へんげしん)となって支配するとされ、その9番目の姿が釈迦であると解釈しました。

すなわちヒンドゥー教は、ヴィシュヌ神の一化身として釈迦をちゃっかり取り込んでしまい、これが仏教発祥の地インドから釈迦の教えが消滅した原因のひとつといわれます。
ヒンドゥー教は、ヴィシュヌだけなく、たくさんの変化神を説いています。

その多くは多面多臂(多数の頭部と腕)の姿で怖い顔をしていて、日本の密教において、菩薩以外に天部や修羅、夜叉神として祀られています。

しかし、それらがあまりにも自然に習合しているため、現代の日本人はその神さまの本地を知らずに信仰しています。
観音菩薩は梵名をAvalokiteśvaraといい、漢訳経典の翻訳者や時代によって観世音菩薩(鳩摩羅什訳)、観自在菩薩(玄奘訳)、救世菩薩などと訳されました。

天台宗を開いた最澄が法華経(観音信仰)を日本にもたらす前(仏教史的には雑密・ぞうみつの時代)から観音は熱心に信仰され、飛鳥時代の法隆寺初め多くの寺院に伝えられています。
観音浄土は補陀落山(ポータラカ)と説かれ、チベットのポタラ宮の語源でもあります。

そして日本で「ポータラカ〜ほだらく〜ふたら〜二荒〜日光」と変化しました。なんと日光の語源は観音浄土の補陀落山だったのですね。観音は、名称だけでなく、その姿をさまざまに変化(へんげ)して衆生を救済するといわれます。

法華経(観音経)では三十三身に変化する応現身(おうげんしん)が説かれ、三十三観音霊場や三十三間堂の名前の由来にもなっています。

また六道においては六観音に変化し、それぞれの衆生を済度するとされます。
戦いに明け暮れる修羅道にある衆生を済度する十一面観音の梵名(ヒンドゥー教の名称)はekadaśamukhaといいます。

天平時代の最高傑作・聖林寺の十一面観音は、わが国最古の神社・大神神社の神宮寺・大御輪寺のご本尊でした。

また東大寺二月堂のご本尊は絶対秘仏の十一面観音ですが、お堂の背面には「小観音(こがんのん)」さんが祀られています。
ヴィシュヌ神は「千の顔を持つ支配者」という別名もあり、夜叉神の二十八部衆を従えて餓鬼道の衆生を救済する千手観音(sahasrabhuja)の原形のひとつではないかと考えられます。

インド神話には、多面多臂の神格はたくさんあるのですが、千手観音そのものの作例は見当たりません。

どうやら仏教がインドを出て中央アジアの宗教と習合する過程で成立したようです。
天台宗も、ヒンドゥー系のたくさんの変化神(へんげしん)を仏教の尊格として晩唐から移入しましたので、日本の天台系や密教系の寺院には、元を辿るとヒンドゥー教の神々をルーツに持つ尊格がたくさんあるのです。

しかし、明治初年の神仏判然令によって、夜叉神的尊格は隠蔽・秘匿されました。

それでも現在も多くの尊格が信仰されていますので、代表的なものをいくつかご紹介いたしましょう。
こんぴらさんで有名な香川県の金刀比羅宮も元を辿れば古代インド神話のクンビーラという大蛇を象徴する大河の神が源流で、クンビーラ〜金比羅〜金刀比羅〜琴平!
マハー・カーラ(音訳で摩訶迦羅、大いなる暗黒)という神は、時空を司るシヴァ神と同じ神で、中国で「大黒天」や「大自在天」と意訳されました。本来はすべてを破壊するたいへん怖い神さまなのですが、わが国で「ダイコク」の音から大国主命と習合されて、大きな頭巾を被って木槌を振るうにこやかな福の神の大黒さまになりました。

でも、大黒さまの裏の顔は、本当は怖いのです。
東京の金龍山浅草寺の近くに待乳山本龍院がありますが、ここのご本尊は歓喜天(聖天)。

元を糺せば象頭人身のガネーシャ神。境内のあちこちに二股大根と巾着袋の意匠で溢れているのは、吉原遊郭のそばなればこそかも知れません。
さてヒンドゥー教由来の神仏を紹介し始めたらとても語り尽くせません。七福神やお近くの「天」や「神」がつく尊格の本地を調べてみれば、日本は、ヒンドゥー教の神々が守護する国であったことに気がつかれることでしょう。
「異貌の神々」はまだまだ続きます。
画像)籔内佐斗司著『ほとけの履歴書』(NHK出版)より

 


*画像・内容は籔内佐斗司氏よりお借りしました。

 


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