#籔内佐斗司 #錯視

本日は籔内佐斗司氏のSNSより・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

館長の部屋 第62話 錯視

其の二 奈良県立美術館館長 籔内佐斗司

紙のうえに長方形を描き、それに45度ほど傾けた斜めの線(A-C)を、交差部分を空けて引いてみてください。

するとあら不思議、繋がっているはずの直線がずれて見え、繋がっていない線分A-Bが直線に見えます。

定規を当てて確認しない限り、なかなか信じられないくらいです。

これをポゲンドルフ錯視といい、これと同じような錯視(Optical Illusion)を起こす図は、欧米の多くの認知心理学者や図学研究者が、自分の名前を冠した錯視図としてたくさん発表していますので、今回はそのほんの一部を紹介したいと思います。

何本かの平行線を等間隔に引いて、それぞれの線の一本おきに互い違いに短い斜めの平行線を描くと、最初の平行線は平行に見えなくなります(ツェルナー錯視 1860)。

何本かの平行線の間に少しづつずらして■を並べると、最初の平行線は非平行に見えます(カフェウォール錯視 1898)。

そして、一見渦巻きに見える図が、じつは背景に影響された複数の円の組み合わせに過ぎないことに驚きます(フレイザー錯視 1908)。

また同じ大きさのふたつのオレンジ色の〇の周囲にそれぞれ大きな円と小さな円で囲むと、中心の円の大きさが明らかに違って見えます(エビングハウス錯視 1890年頃)。

これらの錯視現象は、図の中の少しのずれの繰り返しによって見え方にバイアスがかかり、脳が画像を勝手に修正して認知し、正しく見えなくしていることが原因といわれています。

また、ひとの視覚には残像現象(afterimage phenomenon)があることはよく知られています。

一コマごとの画像がカタカタと連続して投射されているに過ぎないフィルム映像がスムーズに動いて見えるのも、多くのアニメーションを楽しめるのも、残像という錯視現象のおかげです。

そして、脳の感性がひとたび錯視を起こしてしまうと、知性で修正することは難しくなります。

さて、下に示した女性の顔を描いた絵は、どのように見えますか?可愛い女性の横顔?それとも不気味なお婆さんの顔?  これは、19世紀のドイツの古い絵はがきにあった絵「妻と義母」を、1915年にイギリスの漫画家・W.E.Hillが改作して発表したものですが、多くの心理学研究者にたびたび引用されてきただまし絵の古典的傑作です。

西洋絵画には、このような「だまし絵(Trompe-l’oeilトロンプルイユ)」やトリックアートという錯視を利用した絵画ジャンルがあります。

「館長の部屋 第44話 奇想の画家」でも紹介しましたが、野菜や果物をひとの顔に見えるように構成したGiuseppe Arcimboldo(ジュゼッペ・アルチンボルト、1526〜1593)は今も大人気です。

また、写実表現を突き詰めることで、建築物の壁などに描かれているにも関わらず、存在しない空間や立体を錯視させる「だまし絵」もルネッサンス以降に大いに流行りました。

Maurits C. Escher(マウリッツ・コルネリウス・エッシャー、1898〜1972)の絵は、非現実的風景や物理学的にありえない状況を錯視を用いて表現しました。

彼の作品は今も根強いファンが多く、エッシャー展にはすごい動員力があります。

絵画に明快な意味を持たせることを重視する欧米では、だまし絵や錯視藝術を心理学者や脳科学者らと一緒になり、高尚な知的遊戯とすることがとても盛んです。しかし、絵画を漠然と雰囲気だけで見てしまいがちな日本人には、なかなか純粋藝術や科学と関係付けて認めることはむつかしいようです。

でも、グラフィックデザイナーの福田繁雄氏(1932〜2009)が熱中したTrick Artは、正しいと信じている自分の感覚がいかにいい加減かを気づかせてくれます。

それらは、ビックリハウスや忍者屋敷などとして観光地の大人気施設です。また現代では、道路や鉄道の路線における運転者の錯視が原因の事故の防止にも大いに活用されているとき聞きます。

今後、錯視研究はデジタル技術を導入して、ますます巧妙に複雑化していくことでしょう。

いつの日か、奈良県立美術館でもトリックアート展を企画してみたいものだと夢想しています。

参考文献)『イラストレイテッド 錯視のしくみ』(北岡明佳・著 朝倉書店)、『錯視芸術図鑑』(ブラッド・ハニーカット、テリー・スティッケルズ共著 創元社)、『謎解き錯視傑作135選』(ジャンニ・A ・サルコーネ著 創元社)、Wikipediaなど 図版クレジット) ポゲンドルフ錯視 ツェルナー錯視 フレイザー錯視 カフェオール錯視 エンビングハウス錯視 W.E.Hill「妻と義母」(1915) 東京トリックアート迷宮館

 

 


*画像・内容は籔内佐斗司氏のSNSよりお借りしました。


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