日別アーカイブ: 2025年8月22日

高知県立美術館で、贋作と判断された絵画《少女と白鳥》を公開へ。作品について再考する展覧会が9月から開催

本日は距離的に遠く見に行くことは難しいのですが・・・興味深い企画展がありましたのでご紹介だけ致します。

昨年ニュースで聞いておりましたが、その後って意外と知らない事が多く・・・・失敗から学ぶ的な発想で面白い企画展でございます。

是非、お近くの方はご参加ください。

NO贋作!

 

 

「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」を9月13日~9月25日、10月4日~10月19日に開催。科学分析の内容や贋作の歴史にも光を当てる

ハインリヒ・カンペンドンクを詐称したヴォルフガング・ベルトラッキ《少女と白鳥》 1990年代 高知県立美術館蔵

贋作だと発覚した高知県立美術館所蔵の《少女と白鳥》

高知県立美術館で、贋作と判断された絵画《少女と白鳥》を公開・再考する展覧会「再考《少女と白鳥》 贋作を持つ美術館で贋作について考える」が9月13日から開催される。

《少女と白鳥》は、ドイツ人画家ハインリヒ・カンペンドンクによる1919年作の油彩画として、1996年に同館が1800万円で購入した作品。2024年6月に贋作者ヴォルフガング・ベルトラッキによる贋作との疑いが浮上したことから、美術館は京都大学准教授の田口かおりと協力して作品の科学分析調査を行った。来歴や証拠資料なども含めて総合的に検討した結果、作品が贋作であるとの結論に達し、今年3月に県および美術館が発表した。

高知県立美術館 外観 撮影:編集部

 

《少女と白鳥》の展示とともに、収蔵の経緯や科学分析の内容を紹介

展覧会では、《少女と白鳥》を公開し、購入・収蔵の経緯や実施された科学分析の内容もあわせて紹介。様々な角度から同作について「再考」を行う。プレスリリースでは、「贋作を収蔵してしまった美術館として、今後同じ過ちを繰り返さないためにも、本展を通して芸術分野における『贋作/偽物と真作/本物』をめぐる諸問題に光をあて、議論の場を生み出すこと」を目指すとしている。

出品作の点数は10点程度が予定されており、展示は全4章から構成。古今東西の主な贋作事件を取り上げ、贋作の歴史に迫る第1章、同美術館の古美術の収集事例を通して、著名な画家の真作と「そうでないもの」の線引きの困難さに光を当てる第2章に続き、第3章で《少女と白鳥》を公開する。

 

ハインリヒ・カンペンドンクを詐称したヴォルフガング・ベルトラッキ《少女と白鳥》 1990年代 高知県立美術館蔵

第3章では、1919年の作品とされていた同館の《少女と白鳥》がその年代に制作されたものではないと判断されるまでに行われた科学調査の詳細を、実際の作品や資料とともに紹介。

加えて同館が美術・法律・科学などの各分野の専門家に投げかけた、今回の贋作事件にまつわる質問の回答を掲示し、来場者が贋作について多角的に考える機会を創出する。

《少女と白鳥》は調査の結果、おそらく1990年代に制作されたことが明らかになっている。最後の第4章では、本展のために田口かおりの調査チームが行った、同館コレクションのマルク・シャガール、マックス・ペヒシュタイン、ワシリー・カンディンスキー、パウル・クレーによる20世紀初頭の油彩画にまつわる科学調査の結果を紹介。

視覚的には同じ色に見えても、実際には異なる成分の絵具が使われていることや、画家たちが使用する絵具が時代や流通状況によって変化することなどを提示する。

なお本展は2期に分かれて開催され、第1期は9月13日~9月25日、第2期は10月4日~10月19日。展示内容は第1期、第2期ともに同じとなる。

恣意的な贋作の制作と流通は犯罪であるいっぽうで、専門家の目をかいくぐる贋作の物語はいまも多くの人の関心を引きつけている。

本展は、28年のあいだ「カンペンドンクの作品」として親しまれた《少⼥と白鳥》にまつわる背景を知るとともに、贋作について広く考える貴重な機会となりそうだ。

 

*画像・内容はお借りしました。